2015年07月15日

保守層を40年間怯えさせ続ける「扇動」:1977年の英国テレビでの激しいセックス・ピストルズ非難を見て


1977年6月の英国ラジオの「全英ヒットチャート」放送より
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▲セックス・ピストルズの『ゴッド・セイブ・ザ・クィーン』は、全英チャートで1位となりましたが、すべての放送局で放送禁止となり、音楽番組では流れることはありませんでした。なお、この時の2位は、イーグルスの『ホテル・カリフォルニア』でした。


最近、ジョン・ライドン関係の記事をよく書いていたこともあり、本当に何十年かぶりに、セックス・ピストルズの唯一のオリジナル・アルバムを通して聴いていたのですが、中学生の時に受けたようなインパクトは感じないながらも、前回の記事で取り上げた「ボディーズ」という曲を始めとしたいくつかの曲は、むしろ今になって、「よくできたロックンロールだったんだなあ」と感心しました。

そして、1度見たきり見ていないセックス・ピストルズのドキュメント「的」映画『グレート・ロックンロール・スウィンドル』を飛ばしながら見ていましたら、その中で、1977年に『ゴッド・セイブ・ザ・クィーン』という曲をリリースした頃、テレビのキャスターなのか、何かの評論家なのかわかりませんが、テレビで、強烈にセックス・ピストルズを非難している紳士の映像を見ました。

その非難の仕方はあまりにも強烈で笑ってしまいましたが、以下のようなものです。




文字に起こしてみました。



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私の意見としては、パンクロックは下品で不快で、耐えがたく、安っぽくて暴力的で、おぞましい。
救いようがありません。
彼らがポックリと急死することを祈ります。
セックス・ピストルズは最悪のグループです。
おぞましいチンピラ集団、人類の敵です。
深い穴を掘って埋めてしまうべきです。
それが全人類の進歩に大きく貢献するのです。




その後に、ジョン・ライドンのテレビでのインタビューのやりとりが入ります。

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聞き手 「社会は混乱状態だ」
ライドン「だから?」
聞き手 「君たちは煽っている」
ライドン「若者は絶望しきっている。学校教育で生徒はフヌケにされる。体制と違う意見は抹殺されるんだ。やつらは生徒を洗脳する」




それにしても、最初の紳士の「ポックリと急死することを祈ります」とか、「深い穴を掘って埋めてしまうべきです」という紳士らしからぬ言葉は、当時、セックス・ピストルズが、いかにイギリスの保守層の感情を逆なでしていたかを物語るものです。

もともとロック音楽に寛大なイギリスなのに、この感情的な態度は、彼らの曲が単なるロックではないということへの怒りだと思います。

「本当に社会が動かされてしまうかもしれない」

ということに対しての保守層、管理側の不安。

イエスやピンク・フロイドではおそらくは革命は起きない。
でも、セックス・ピストルズには「それ」があったかもしれないのでした。

そして、今だからこそすごいと思うのは、ジョン・ライドンを始めとする、今から約 40年前の「本当の反抗の精神」が 40年経った今でも「多くの人の中に生きている」という点です。

何しろ、私自身がこのように影響を受け続けている。

私たちが「考える」ことに貢献し続けてくれ、社会の未来を考えることの支えになる。

創造と破壊の理論でいえば、明らかな「破壊側」である彼らは、世界中に散らばって生きている多くの人びとに火をつけたまま現在に至ります。

そして、先ほどの紳士の、

「深い穴を掘って埋めてしまうべきです」

という願いは叶わず、彼らは今でも健在です。

それどころか、巨大化、あるいは「大物化」しながら神話化していくという離れ業さえ見せています。

大物化したジョン・ライドン(Sex Pistols ボーカル)
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大物化したスティーブ・ジョーンズ(Sex Pistols ギター)
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mtv.com

これからもどんどん大くきくなっていくことを期待しています。


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posted by noffy at 15:38 | 現世人類としての最期に