
▲ 世界へ発信される京都の風景。しかし、今回の本文とは関係ないです。というか、正反対の話です。
私の現在、住んでいる町は県としては埼玉県となります。
さて、先日、近所の道を歩いていましたら、美少女といえるタイプの女の子が、「こんにちは〜」と満面笑顔でこちらを見ます。先日の記事の夢に出てきた美少女にも何となく似ています。

「ん?」と少し考えましたが、「ああ、オリジンの・・・」と、彼女が近くのオリジン弁当の店員さんであることに気付きました。
こう書くと、何だか私がオリジン弁当で頻繁に弁当を買っているように感じられるかもしれないですが、行くのはせいぜい年に2、3回といったところで、最後に行ったのもずいぶんと昔のことです。
ただ、昨年の秋頃に私の子どもが町で道に迷った時に、このオリジンの店員さんに道を聞いたことがあって、その後、私がお礼に行ったことがあり、その時からの顔見知りではあります。
ここに越してきてから1年半以上になりますが、こういう「フレンドリーさ」というのは来た当初から感じていました。いろいろなお店の店員さんなんかをはじめとして、若い人たちから、じいさんばあさんたちまで、人々の「人なつっこさ」というのはかなりのもので、今まで暮らした場所の中で突出している感はあります。
そして、街全体が何だか「ボーッ」としている。
いわゆる「幻想の中の下町」というような部分が現実化しているような感じはあって、以前から「どうしてなんだろうなあ」という気はしていました。
最近、「これが原因なのでは?」と思うひとつの資料を見ました。
それは、日本の47都道府県で、
・地元に愛着を感じている県民ランキング
・自分の地元を人にオススメしたいランキング
というランキング表を見たのです。
まず、「あなたは地元に愛着を感じていますか?」という質問のランキングの上位。

そして、「地元に「ぜひ来てほしい」と感じている人の割合」のランキングの上位。

ともに、沖縄と北海道がグリグリの上位です。
さて・・・・・。
では47位は。
つまり「最下位」はどこか。
「あなたは地元に愛着を感じていますか?」という質問のランキングの最下位。

「地元に「ぜひ来てほしい」と感じている人の割合」のランキングの最下位。

共にガッチリと最下位を保持したのが「埼玉県」、つまり私の住んでいる県なのでした(笑)。
ちなみに、上の表はITMediaからのものです。2009年のものですので、やや以前ですが、今でもそれほど変わらないでしょう。
この結果はとても印象深いものでして、たとえば、私は北海道生まれなんですけれど、北海道は、上のふたつのランキングでどちらでも上位にあります。
特に「ぜひ来てほしい」と感じている人の割合は1位なんですが、確かに「北海道のお国自慢」にはものすごいものがあります。
住んでいた少年時代はそんなことには気付かなかったのですが、東京に出てきてから、北海道に帰省するたびにそれを非常に感じるようになって、今では正直この感じには辛さを感じることもあります。
この世には、「愛国心」という言葉がありますが、これを英語で「ナショナリズム」というような意味でとらえてみれば、地域への愛着心というのは、小さなナショナリズムの発露であって、私はもともとそういうものがあまり好きではないのです。
その概念とどうしても相容れることができない人生でした。
だから、国同士が戦うスポーツ大会(オリンピックとかいろいろな国際大会)に興味を持ったことはないですし、国際競争力なんてものもどうでもいいです。
それと「個人の幸せ」とはあまり関係ないからです。
私は日本や日本語が好きですが、日本が好きなら日本が好きというだけでいいわけで、他の国と比較したり競争することに意味はないし、そのことによって自分の位置を高めるというようなことは、むしろ自分のいる場所の本当の「価値」を低くしてしまうと考えています。
比較での価値観ではなく、個人としての絶対的な価値観でそれでいいと思うのです。
まあ、それはともかくとして、地域的な意味でも、私はあまり「おらが土地が一番」というような場所は馴染めない傾向があります。
ですので、「地域的ナショナリズムができるだけ少ない環境にいたいなあ」と思うことはあったのですが、まさか、事情で引っ越してきたこの埼玉県が「日本でもっともナショナリズムの低い土地だった」とは!(苦笑)
以前、テレビの旅番組か何かで埼玉のどこだったかに行った出演者が、
「このあたりで有名なものといえばなんですか?」
と地元の人に聞いたところ、
「あー・・・それはないねえ。このあたりは何も有名なものはないんだよ」
と言われ、その近くの別の人に同じ質問をすると、
「あー・・・なんかあるかねえ・・・。いやあ、ないねえ」
と言っていたのを見て笑いましたが、なぜ笑ったかというと、テレビはその土地で実際に有名である「有名品」を取材しにきていたので、それは確かにあるのです。でも、地元の人は上の答えであることに笑ったのでした。
この極端とも言える「自分の土地への自信のなさ」というのは、私自身も「自分自身に異常に自信がない」のですが、そのこととよく似た感じがします。
このページの冒頭に貼りました京都の風景のように、世界全体へ発信されるような美しさ、歴史、そして、そうそうたるエピソードを持つ数々の素晴らしい都道府県を持つ日本ですが、それらの範疇からすっぽりと抜け落ちた日本の地域であることを住民たちが知っている県である埼玉。
この愛着心も覇気もない埼玉という土地は案外、縄文時代や弥生時代の人たちのような「極度に生ぬるい、いい加減さ」を持つ場所なのかもしれないなあとも感じます。これは悪口ではなく、私の表現では最大級の褒め言葉です。覇気のある人たちには住んで退屈でしょうが、「もうどうでもいいや」というような人たちには意外と住み心地のいいところなのかもしれません。
上にあげた表の全ランキングを貼っておきます。

