2011年07月21日

みずがめ座の時代への変遷を描いた映画



最近続いていた暑さで、外を歩き回ることが少なくなったせいで、パソコンの前で昔好きだった映画などをまた見たりすることが多くなりました。

そんなわけで、今日は単なる映画に関しての日記です。


人の人生、いろいろな部分でいろいろなところと関係しているなあとは最近よく思うことですが、これは映画を見ていても感じることで、たとえば、マルセル・マルソーというフランスのパントマイムの人がいます。私はパントマイムとかそういう舞台表現には全く興味がないですので、本来なら、マルセル・マルソーの存在など人生とは何の関係もないのですが、しかし、やはり私の今の人生とは大いに関係があります。


そのマルセル・マルソーの旅回りの一座に、1950年代に参加したチリ人の学生がいました。アレハンドロ・ホドロフスキーという名前のユダヤ系の青年でした。


アレハンドロ・ホドロフスキーはメキシコで数多くのパントマイム公演をおこなった後、1960年代に映画の撮影を開始し、そして、1970年に「エル・トポ」という西部劇の撮影を終えて、その年にアメリカで公開されます。


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▲ エル・トポ(1970年)より。うちの子どもが夏暑くてチンチン丸出しで部屋で走り回ったりしていて、体型もこの子と似ているので、この「エルトポの息子」を彷彿とさせます。


この映画が日本で正式に公開されたのは 1980年代の終わり頃と、かなり後だったのですが、当時、学生だった私がこの映画から受けたインパクトは非常に大きく、それからは何をやるにしても、「エル・トポの幻影」というのがつきまとっていたと思います。

そういう人は多かったようで、多くのアーティストたちが自分の作品にこのエル・トポの幻影を引きずっていることか伺え、それでも、やはり誰もアレハンドロ・ホドロフスキーのようにはできないまま死んでいきました。

ビートルズのジョン・レノンなどは、エル・トポから受けた感動が大きすぎて、 Wikipedia によれば、「特に(上映に)四回足を運んだというジョン・レノンは本作と次回作の興行権を 45万ドルで買い取っている」と書かれてあります。

1970年はドル円が360円の固定相場の時ですから、 45万ドルは 1億6000万円
40年前の1億60000万円は大きな金額だと思います。

商業映画を意識していなかったホドロフスキーは内心、「坊主丸儲け(笑)」と笑っていたような気がします。


この 1億6000万円で、あとは寝て暮らすという選択もアレハンドロ・ホドロフスキーにはあったと思いますが、次の作品を撮影し、公開されます。

それは1973年の「ホーリー・マウンテン」という映画で、比較的ストーリーがわかりやすかった前作エル・トポと比べると、格段にストーリーが破綻した映画でしたが、登場するイメージ一つ一つが美しくてショッキングなこともあり、アメリカでは1年以上のロングラン上映が記録されています。


このホーリー・マウンテンの内容こそが「うお座の時代からみずがめ座の時代への移行を描いたものかもしれない」ということを最近、見直した時に気づいたので、書いてみます。


ホーリー・マウンテンのストーリーにふれる前に、その前作であるエル・トポのストーリーにふれておく必要があると思いますので、書いておきます。

ちなみに、これらは、いわゆる公的なストーリーや解説とは違うと思います。アレハンドロ・ホドロフスキーの映画は、ストーリーもテーマも見る人が考える部分が大きいです。私は二十代から何十回もエル・トポを見ていますが、いまだにストーリーもテーマも曖昧です。




天界と下界の融合の「失敗」を描いたエル・トポ


エルトポは西部劇ですが、全体のストーリーが、「神っぽい存在」の誕生から死までをなぞっており、ひとりのガンマンがフリークスたちが住む村を救おうとして失敗するまでを描いています。

全体の進行が、


創世記
詩篇
啓示



という構成となっていて、これは映画で文字で示されます。

主人公は最後自殺するのですが、どうして自殺するかが説明されてはいません。しかし、自殺の原因として考えられるのは「天界と下界の融合の失敗を悲嘆した」という感じがあります。


映画では、フリークスたちの住んでいる地下の村を「天国」としてイメージしている感じがあり、フリークスの存在を天上の存在的な、あるいは天使的なものとして描いているフシがあります。

そして、一般の人々が住む町を「下界」として描いています。


エル・トポはフリークスたちを一般の社会、すなわち「下界」へ解き放とうとするのですが、結果的に、「下界の市民」たちはフリークスたちを受け入れず、市民たちはフリークスたちを全員射殺してしまいます。


つまり、「下界は天使を受け入れなかった」という結末でこの映画は終わっていると考えてもいいと思います。


一見この救いのないストーリーの映画だったエル・トポの次の作品「ホーリー・マウンテン」では、(多分)アレハンドロ・ホドロフスキーは贖罪の意味と新しい時代への期待を込めて、「次の時代の可能性」を描きます。





精神的時代が三回変わる「ホーリー・マウンテン」





▲ ホーリー・マウンテンの予告より。



まず、ホーリー・マウンテンのストーリーは何度見てもよくわかりません。日本のWikipedia には、「錬金術師は、9人の弟子と共に、不老不死の秘法を知る賢者達から秘法を奪う為に、修行の末、賢者達が住む聖なる山に至るが…」とありますので、公的にはそういうストーリーの映画ということでいいのだと思います。


しかし、一方で最近見直してみて気づいたことが、この「ホーリー・マウンテン」というのが、「うお座からみずがめ座の時代の変遷」を(具体的に)描いていて、また、それだけではなく、うお座の「前の時代」からうお座に移行した時のことも描かれていることに気づきます。


つまり、おひつじ座の時代や、その前の時代にまで遡っての社会の変遷というものを描いているように見えます。


映画では、最初に、


・トカゲの支配者とヒキガエルの教皇の時代


というものが描かれており、その爬虫類の支配者たちは、活動家である学生たちの市民革命家たちによって捕らえられ処刑されます。爬虫類と両生類による強欲な支配の時代は終わりを告げます。

そして、同時に、映画では、


・羊たちも大量に処刑される


という描写もあります。
このあたりの描写は曖昧ですが、西洋では「羊」、「山羊」、ともにいろいろな意味があり(悪魔的な意味合いがあることもあるようです)、何か意味をしているのだとは思うのですが、映画では描写を垂れ流しているだけなので見ているほうで想像するしかないです。


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▲ トカゲの支配者。学生たちによる社会革命で教皇(ヒキガエル)と共に処刑される。



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▲ 軍隊によって血祭りに上げられる羊(あるいは山羊)たち。



その次に、「うお座の時代」、すなわち、「キリスト教の時代」が描かれます。


映画では、ひとりの青年が「酔っぱらって眠っている間に、勝手に自分の体をモデルにたくさんの偶像が作られてしまう」というシーンから始まります。


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▲ そのシーン。酒を飲んで裸で眠っていた青年は、目覚めると、自分の型がたくさん作られていて、それが祀られていることを知り絶叫します。真ん中の奥のほうで叫んでいるのが酔っ払いの青年。



そこから始まる社会は完全な男性社会であり、女性の娼婦たちも存在しますが、男たちはすでに彼女たちを相手にはせず、男は基本的に男と交際する。町中でのダンスパーティも男性同士でのみ行われている社会。


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何もかもが男性性システムに綾取られ、貧富の差と階級制度が大きく存在する社会。

革命運動も多数起こりますが、ことごとく失敗します。
もはや、革命や暴動では社会は変えられないところにまでキリスト教社会は進んでしまった。


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▲ その時代の軍隊。


その社会の中で、その社会に絶望していた「上流階級の人々」が身分を捨てて、賢者たちが住む聖なる山を目指すという展開になるわけですが、この映画でもその終結はお茶を濁して終わり、次の時代は描かれずに終わります。革命運動をしている一般の階級の人々ではなく、「上流階級の人々が次の社会を目指す」というのがこの映画のおもしろいところでもありました。




次の時代は結局どんなものなのか


この映画で描かれる「キリスト教の時代」、つまり、現在らしき時代の社会にはいたる所にシンボルのマークの旗が立てられていて、それは、


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このようなシンボルです。

これと同じ星座のマークはないようですが、なんらかの時代を示しているシンボルだとは思います。

私はこういうシンボルとか全然知らないのですが、こちらのページに、


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というものが示されていて、上のマークは、星のほうの何かと何かを足して作ったっぽい感じもしますね。


そういえば、1990年代の終わり頃だったか、当時、フランスに住んでいた知り合いが、「アレハンドロ・ホドロフスキーがパリの片隅でタロット占いやってたよ」と言っていました(笑)。お金がない時は占い師とかもやっていたようで、星とかタロットには詳しいのかもしれません。


それはともかく、映画ホーリー・マウンテンの流れとして、


・トカゲの時代

  ↓

・羊(あるいは山羊)の時代

  ↓


・キリスト教の時代




ときていて、このホーリー・マウンテンがその次の時代を目指すという話だとして、それはどんな時代なのか。

はたして、本当に私たちが想定しているようなみずがめ座の時代なのか。


それはわかりませんが、ただ、「エル・トポ」に強く影響を受けたビートルズのジョン・レノンは、ソロになった後、エル・トポを見た翌年の 1971年に「イマジン」という曲を発表しています。

有名な曲ですので、耳にしたことのある方も多いと思います。


この「イマジン」でのジョン・レノンのコスチュームは、エルトポの主人公そのままなので、映画「エル・トポ」への返答の意味もあったのかもしれません。


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▲ ジョン・レノン「イマジン」(1971年) のプロモーションビデオ。



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▲ エルトポの主人公。主人公が「地下にある天界」に落ちるまではこのコスチューム。



私本人は音楽ジャンルの中のバラードというものがダメで、イマジンもいい曲だとは思いつつもどうも苦手で、全部通して聴いたことは1、2度くらいしかないですが、この曲の中で、「想像してみなさい」と聴いている人たちに問いかけていることはわかります。

この「想像してみなさい」という言葉の意味というものはあると思います。


私自身はいわゆるみずがめ座の時代はあまり合わなそうですので(悪い人間なので)、その前に死ねることは幸せだと思っていますが、人類全体から見れば、現在の社会よりは必ずいいものになるとは思います。

上の流れから考えると、「よくなる」と想像することが大事だということなのかもしれないですが。


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posted by noffy at 10:43 | 人類の未来