2010年03月16日

4つのALL

最近、頻繁に記事をアップしたりしていて、何だかゴキゲン状態のような感じを受ける向きの方もあるかと思いますが、実際はあんまり調子よくないのですよ。

調子というか気分というか・・・。

なんかこう、自分も含めて「ぜーんぶダメな感じ」を感じ始めていて、異常にネガティブな未来感や価値観に支配されつつあります。多分、妙に理想主義的になってしまっていることが原因だと思うんですけど、「人間って全然ダメじゃん」と思えることが多いのです。そして、何より「自分が一番ダメ」という卑下感も大きい。

そういう中で、この前の記事の地球の不思議や、その前の太陽を周回するものなどのニュースなんかは嬉しいですけどね。こういうささやかな刺激でもないと、ヘナヘナになってしまいそうです。

ところで、先日、音楽サイトのコラムで、昔のアメリカのロックバンドのニルヴァーナという人たちの「All Apologies」という曲の歌詞を訳していたのです。
17年くらい前の曲ですかね。

その歌のサビというか、最後に数十回呟き続けて終わるフレーズが、

All in all is all we all are.

なのですね。

短い文章に「ALL」が4つも入っている。

英語の文法的には難しそうですが、でもまあ、私は体感としてはわかるんですよ。
言いたいことが。

でも、日本語に訳せない。

正式な対訳では、

 俺たちはみんな かけがえのない存在

みたいなことになっているんですが、どうも解せない感覚はあります。

歌っているカート・コベインはこの次の年に猟銃で頭をぶち抜いて自殺しますが、もうこの歌を書いている頃からまったくポジティブではなかったはず。この歌も全体としては、

俺が全部悪かった。もうね、言い訳もしないし、責められてもいいけどね。でも、どうやって生きたらいいかよくわからなかったんだよ。もうどうでもいいよ

みたいな感じで、それがいきなり最後のフレーズで、

俺たちはみんな かけがえのない存在

と、(`・ω・´) シャキーンとするのはどうなんだろうと。

ま、解釈は人それぞれだし、それはいいか。

それにしても、英語というのも、こういう禅問答みたいな文章が作れるということは、もっと精神的な言葉にもなり得る気はしますね。
上のフレーズを文法で分けると、

All in all

is

all

we all are.


で、まあ、禅問答的で右脳的であること。

日本語のほうが情緒的で感覚的だとか私は思っていましたけど、どんな言葉でも、使い方次第ということですかね。

自分の音楽サイトでは、そのちょっと前に、フェイ・ウォンという中国の歌手のずいぶん前の歌(無常 1996年)の対訳なんかもしてみたのですが、中国詩というのも圧巻で、これは一部ですが、

夜風微涼
樹搖月晃
雪兒在飛
我在想水流


なんてのを見ると、やはり「言語というのはどんなものではあれ、すごい」ということは思うわけです。

faye-1996.jpg

▲ 1996年のフェイ・ウォン。上の作詞も彼女によるものです。


説明的な漢字の羅列なのですが、しかし、この漢字の羅列だけで、その風景さえ脳裏にパッと浮かんでくるという、非常に右脳度の高い言語だということが改めてわかります。

発音的には読めなくても「夜風が微涼なんだねえ」みたいな情緒的な感覚は漢字を読める国民たちのお宝だと思いますね。


そういえば、唐突ですが、今年はアメリカで10年に一度の「センサス( Census )」と呼ばれる国勢調査があるらしいです。アメリカに国勢調査があることを始めて知りました。興味深い部分もあったので、そのことをちょっと書いておきます。


国勢調査 センサス

これは、アメリカ国籍とか法的に市民であることなどは関係ないらしく、「アメリカに実際にいる人すべて」というもののようです。長期の旅行者なんかもやるものだとか。

ニューヨーク市のウェブサイトにあるセンサスの日本語の解説を読むと、

「2010年に行われる次回のセンサスでは、年齢、人種、民族を問わず、市民、非市民に関わらず、非市民である場合は法的な資格に関係なく、全員が数えられることになっています。」

とのこと。

そんなもんいい加減なんだろ、と思っていましたが、わりと強圧的なものであるらしく、「2010年度センサスのスケジュール」として、

2010年3月 センサスの質問票が各家庭に郵送または配達されます。

2010年4月1日 センサスの日 記入が終了したセンサス質問票を米国国勢調査局まで郵便で返送してください。

2010年4月〜7月 質問票を郵便で返送しなかった家庭をセンサス調査員が訪問します。


とあり、返送しなかったら、「調査員が来る」ようです。

ちなみに、調査票は英語ですが、各国語での「言語援助ガイト」があり、日本語の言語援助ガイトも PDF で配布されています。

読んでみると、さほど刺激的なものではなかったですが、「アメリカ人にとっての人種観念」というのがわかる部分は、まあ、あります。

この質問8と9。特に9はアジア人と関係がある部分です。

sensus-8-9.gif

「第1の人物の人種を教えてください。」の後に、

・白人

という区別のない括りがあり、その下に、

・黒人、アフリカ系アメリカ人、またはニグロ
・アメリカインディアンまたはアラスカ先住民― または主要部族の名前を書いてください

とあり、そしてその下に、

・インド人
・中国人
・フィリピン人
・日本人
・韓国人
・ベトナム人
・ハワイ先住民
・グアム島人またはチャモロ人
・サモア人

と、細かくわけられていて、その下に

その他のアジア人として

例:モン族、ラオス人、タイ人、パキスタン人、 カンボジア人等

その他の太平洋諸島系人として、

例:フィジー人、トンガ人等

などが記されています。

アジア人の区別がものすごく細かいのです。

ここで誰しもふと思う。

白人も民族別にいろいろあるじゃん。

と。

それでも、括りは「白人」だけ。

まあ、要するに民族管理は「白人かそれ以外か」ということが重要だということが何となくわかるセンサスなのでした。

でも、出してしまえば、調査員も来ないでしょうので、適当に出してもいいのでしょうけれど。日本の国勢調査も裏をとられるわけではないので、書いたもん勝ちですしね。

前述したニルヴァーナのカート・コベインは「全部謝るよ」と謝罪して、生まれたアメリカで自殺しましたが、「謝った側が悪い」という認識に支配されている国はやっばり変だと思うのです。


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posted by noffy at 00:16 | 雑記