2015年03月09日

【21世紀生まれの少女少年に聴いてほしい20世紀のロック100選】ジョージ・ハリスンではなくて「センセイ」と私たちに呼ばれていた彼

ザ・ビートルズ - ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー(1967年)


ビートルズは 1970年(私が7歳の時)に事実上解散していますので、私たちの世代は実質的にはビートルズのリアルタイム世代からはかなり離れているのですが、それでも、中学生くらいの時でも、

「音楽はビートルズとレッド・ツェッペリンから」

みたいな空気はありました。

私が最初にビートルズで感動した曲は、ラジオの深夜放送で聴いたジョン・レノンのレボリューション(1968年)という曲でしたが、これは今でも普通にサイケ的なロックとして一種の永遠ですので、特に今さら語るようなものではないと思います。

しかし、「感動」とは違うかもしれないですが、「驚いた」曲があります。

私が初めて聴いたビートルズのアルバムは、サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンドという、Wikipedia によれば、ビートルズのアルバムで最も多く全英チャートのベスト1を獲得した大ヒット・アルバムでした。

このアルバムを聴いたのは中学1年生の時でした。

これまでに全世界で 3200万枚が売れているという超絶なヒット・アルバムですが、そのレコードのB面の1曲目は、ジョージ・ハリスンによる「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」という下の曲でした。

Within You Without You (1967年)




「・・・?」


と私は思いました。

当時の北海道の中学1年生は「インド音楽」なんて知りません。

翌日、中学校でこのアルバムを貸してくれた友人に訊いてみました。

わたし「あー、ときに貴君はB面の1曲目をいかに思うや」
友人 「貴殿は何か異質を感じたとでも?」
わたし「ロックとは何たるかを貴君に問いたいと思うています」
友人 「わたくしはセンセイと呼んでおります」
わたし「何をですか?」
友人 「この歌を作った方です」
わたし「ジョージ・ハリ……」
友人 「言っちゃいかん!」
わたし「はい?」
友人 「センセイじゃ。センセイでいいのじゃ」
わたし「口調が中学生を逸脱しておりますぞ」


というようなわけで、口調は適当な表現となっていますが、以降、ビートルズのメンバーの話になる時に、やや「変化」が出てきました。

普通ですと、

「ジョン・レノンはさあ」

とか、

「ポール・マッカートニーはさ」

とか、

「リンゴ・スターってよ」

というようにビートルズは個人の全員の名前が的確にあがる珍しいバンドだったのですけれど、私たちは、ジョージ・ハリスンだけは、

「まあ、センセイの場合は」

というように、ずっと「センセイ」の名前で語っていたのでした。

この中学校の時の反射的行動は長く残っていたようで、何十年も経った 2001年に、

「ジョージ・ハリスンが亡くなったって」

という言葉を知人から聞いた時に、

「センセイが?」

と返していたほどでした。

ちなみに、「ジョージ・ハリスン先生」ということではないです。ジョージ・ハリスンという名前が「センセイ」という一言に集約されたということです。

それほど、中学生の私には、このウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユーという曲が衝撃だったようです。

そして、このセンセイの曲のおかげで、その後さまざまな民族音楽を先入観なく聴くことのできる資質を身につけることができたのだと思っています、


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