2015年07月27日

我が子が「クマムシを殺す方法」を考える中で、ふと思うこの世で最強の存在「火」を操ることができるのは人間だけだということ



fire-human.jpg
subtlemix.com



クマムシとの想像力での死闘

先日、夕飯の時に、どういう話の流れだったか思い出せないですが、子どもと、

「いちばん強い虫は何か」

というような会話になりました。

その中で、私は、

「正確には虫ではないけど、クマムシという超強いのがいるよ」
「どんなの?」
「うーん・・・」


私はパソコンを開いて、以前、産経ニュースの記事を記した、

最強の生物 クマムシの謎に迫る ゲノム解読し本格分析へ
 2010年05月17日

というページに載せた下の図を見せました。

クマムシ
kumamushi.jpg
産経ニュース


それを子どもは読み始めました。

子 「0.1ミリ・・・ちっちぇー。え? 天ぷらの温度でも死なないの?」
私 「そうです」
子 「マイナス 273度!・・・ってわからないや。どのくらい冷たいの?」
私 「氷よりもずっとずっと冷たい」
子 「7万5千気圧!・・・気圧って何?」
私 「要するに、思いっきりつぶされてもつぶれないと」
子 「かなづちで叩いたら?」
私 「たぶん死なない」
子 「斧で叩いたら?」
私 「たぶん死なない」
子 「机の脚でつぶしたら?」 
私 「たぶん死なない」
子 「車でひいたら?」
私 「それは絶対に死なない」


子どもはどうしても、クマムシを殺したいようです。

私 「しかもね、このクマムシは、空気がなくても生きられるし、宇宙に行って帰ってきたこともあるんだよ」
子 「空気のない宇宙で生きてたの?」
私 「そう」




(参考記事)

宇宙線だけを浴びたクマムシたちは、地球に戻ると復活し、宇宙線を浴びていないクマムシと同様のペースで繁殖した。この無脊椎動物たちが宇宙空間でどのように身を守ったかは「謎のまま」だという。

WIERD 2008.09.09)



子どもの顔に一瞬、クマムシへの敬意の表情が現れましたが、その気持ちと同時に「その強いヤツを絶対にやっつけてやる」という気持ちも強まったようです。

子 「ブルドーザーでつぶしたら」
私 「死なない」
子 「花火をバババッとかける」
私 「あ・・・」
子 「何?」
私 「それで死んじゃう」


上のクマムシの図の「クマムシが耐えた極限環境の記録」のうちの高温のほうは、

「高温 151度」

となっています。

これはこれで生物としては、確かに非常に高温まで耐えられているわけですが、火の温度というのはかなりのもので、ロウソクの火でも 1400度もあるのです。

ondohyo.gif
地球の記録


花火の温度は、花火の威力と危険度によりますと、

> 夏の夜になると子供達が楽しそうに遊んでいますが、この玩具花火の火薬が燃焼する温度はなんと1200度から 1500度にもなります。


線香花火でも 370度あるのだそう。

senkou-hanabi.jpg


耐性温度が 151度までのクマムシは、線香花火にも勝てないのでした。

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sima-niger.net


ここで、ふと、

「というか、あらゆる生き物って、これくらいが限度なのでは?」

という「すべての生物は火に耐えられない」ことにあらためて注目します。

過酷な条件の環境で生きられる微生物を「極限環境微生物」などと呼びますが、この中で、高温でも生きられる微生物(好熱菌)というものを見てみますと、極限環境微生物 - Wikipedia によりますと、

超好熱性:80℃以上に至適増殖を示す生物。その大半が古細菌である。極度に高い温度を好むこれらの生物群は、高温に耐えうる強固なタンパク質および生体膜構造を有する。現在、最も高い生育温度は122℃である。

とありまして、極限環境微生物でも 122度くらいが限界のようです。

多細胞生物のクマムシが、極限環境微生物の耐性温度を超えているのはすごいですが、それでも、線香花火にも勝てないのが現実です。



DNA自体が高温に耐えられない

地球上の、ほぼすべての生命は DNA が基礎となってできているわけですが、 そもそも、DNA そのものが、それほど高い熱には耐えられないもののようです。

関西医科大学法医学講座ウェブサイトの「よくある質問」コーナーに「火葬された遺骨からDNA鑑定ができますか?」というものがあり、回答に以下のようにあります。

火葬場で荼毘にふされると、遺体には800〜1200℃の熱が加わります。軟部組織は灰となってなくなり、骨も灰化しています。このような熱が加わると、DNAは細かく分断されます。

このように分解したDNAの検査は、100 %不可能とは言えませんが、通常のDNA鑑定を行うのが極めて困難となります。

実際には、DNA は 100度くらいから分解が始まるようですので、ほとんどの地球の生物の作りは、そのあたりが限度ということになりそうです。

ほぼすべての生物は「熱に弱い」ことが、生命の「掟」として決まっているようです。

つまり、生物は「火」に勝てない。

最強のクマムシも、子どもたちの噴きだし花火の火の下では消滅してしまう。

この地球には、四大元素というものがあって、

・火
・空気
・水
・土


だそうですが、この中で、「生物を完全に消滅させられるのは火だけ」であることに気づきます。

しかし、そんな火も、水をかけられれば消えてしまう。

その水は、生命の維持ために大気と共に最も大事なものです。

また、火は空気なくては存在し得ません。

いずれにしても、子どもの想像が「花火」に及んだ時点で、クマムシとの対決では勝利を収め、そして、私たち人間はこの世で「火を操ることができる唯一の生物」であることにも気づくのでした。


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posted by noffy at 17:34 | 人類の未来

2015年07月24日

私たちは未来の地球のために、創造性を人間から奪うドラッグを「もっと憎悪」しなければならないのかもしれない

2000年のジョン・ライドンの言葉
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・ドキュメント映画『No Future』


最近、セックス・ピストルズ関係の記事が多いのですけれど、ついでに、いまだに見たことのなかった、2000年に作られたピストルズのドキュメント映画『ノーフューチャー』の DVD を入手して見ていました。

このドキュメントは、旧メンバー全員の協力によって作られたリアルな回想ドキュメンタリーなのですが、途中で、先月書きました、

人はいつも目覚めていなければならない - ジョン・ライドンのカート・コバーンの自死に対しての強烈な糾弾を見て

の中で思った2つの疑問、すなわち、

1. ジョン・ライドンは子ども好きなのだろうか
2. なぜ、あれほどまでに怒っているのか


という疑問が解けたのです。

「1」は Yes

「2」は、心の底から麻薬を憎んでいるから

なのでした。

ジョン・ライドン(ジョニー・ロットン)のメッセージはいつもストレートで強力なものですが、彼のドラッグに対しての怒りは半端なものではないです。

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・No Future


思えば、直接的な原因であれ、間接的な原因であれ、麻薬と関わって死に至ったすぐれたミュージシャンは多いです。ジミヘン、ジャニス・ジョプリン、カート・コバーン、ジム・モリソン・・・他にもいくらでもいそうですが、たしかにまったく無駄な・・・。

生きることと死ぬことの選択云々が無駄なのではなく「ドラッグで死ぬこと」が無意味な消耗にしか見えない。

考えてみれば、たとえば、レッド・ツェッペリンなどの偉大なバンドが次第に創造性を失っていったのも、メンバーがドラッグに溺れていった時期とリンクします。

ドラッグと創造性の関係を言えば、ジョン・ライドンの言葉である

「ドラッグは創造性をことごとく奪い取る」

というのが正しい。

他の一切の解釈は存在しないと思われます。

私などは、こういうことをぼんやりと「あんまり良くはないのだろうけど」程度に考えていましたけれど、あらゆるドラッグは、未来の人類の「敵」だと考えるようになりました。

未来の地球に不要なものです。

人間から「創造性」と「命の価値」を奪うものは、すべて未来の人類と未来の地球には不要です。

多くの人々に「強く」そう考えていただけると幸いです。

このドキュメント映画『ノー・フューチャー』の中に、クリスマスに消防署の労働組合だか何だかが長期のストを決行した際に、クリスマスに親不在で家に残された子どもたちをセックス・ピストルズがパーティに招待した時の様子が描かれています。

にこやかに、子どもたちにケーキを配るジョン・ライドンの姿と、笑顔を見せるメンバーの姿が印象的です。

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・No Future

21歳で死んだシド・ビシャスもドラッグにさえ手をだしていなければ、ジョン・ライドンと同じ「子ども好きな社会的反逆者」のままでいられただろうに、と思うと、何とも悲しくなったのでした。

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ジョン・ライドンも、シドを救おうと、かなり努力をしたようなのですけれど。

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なお、この子どもたちのためのパーティで演奏した1曲目が、

子どもの生命の取捨の選択は、それ自体が否定されるわけではなく、女性自身が賢明に考えること

という記事の中で訳詩を書きました「ボディーズ」なんですね。

工場の作業台の上で掻き出される
違法な堕胎が行われる場所
便所に置き去りにされた包みの中で
小さな赤ん坊が叫び声を上げて死んでいく
死体が叫ぶ! クソみたいにムチャクチャにひどい話だ

なんて歌詞で子どもたちが踊っている(微笑)。

見れば、子どもたちもみんなピストルズのTシャツを着ているあたり、当時の彼らの人気がわかります。

何だか不思議と泣けるシーンですので、貼っておきます。

映画『ノー・フューチャー』より



とにかく、私が最近、ジョン・ライドンから学んでいることは、

「妄想にとらわれず現実を見て、目を閉じず、いつもしっかりと目を開け、自分の考えを持ち、苦痛を避けずにまっすぐ進む」

という概念です。


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posted by noffy at 14:13 | 人類の未来

2015年07月15日

保守層を40年間怯えさせ続ける「扇動」:1977年の英国テレビでの激しいセックス・ピストルズ非難を見て


1977年6月の英国ラジオの「全英ヒットチャート」放送より
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▲セックス・ピストルズの『ゴッド・セイブ・ザ・クィーン』は、全英チャートで1位となりましたが、すべての放送局で放送禁止となり、音楽番組では流れることはありませんでした。なお、この時の2位は、イーグルスの『ホテル・カリフォルニア』でした。


最近、ジョン・ライドン関係の記事をよく書いていたこともあり、本当に何十年かぶりに、セックス・ピストルズの唯一のオリジナル・アルバムを通して聴いていたのですが、中学生の時に受けたようなインパクトは感じないながらも、前回の記事で取り上げた「ボディーズ」という曲を始めとしたいくつかの曲は、むしろ今になって、「よくできたロックンロールだったんだなあ」と感心しました。

そして、1度見たきり見ていないセックス・ピストルズのドキュメント「的」映画『グレート・ロックンロール・スウィンドル』を飛ばしながら見ていましたら、その中で、1977年に『ゴッド・セイブ・ザ・クィーン』という曲をリリースした頃、テレビのキャスターなのか、何かの評論家なのかわかりませんが、テレビで、強烈にセックス・ピストルズを非難している紳士の映像を見ました。

その非難の仕方はあまりにも強烈で笑ってしまいましたが、以下のようなものです。




文字に起こしてみました。



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私の意見としては、パンクロックは下品で不快で、耐えがたく、安っぽくて暴力的で、おぞましい。
救いようがありません。
彼らがポックリと急死することを祈ります。
セックス・ピストルズは最悪のグループです。
おぞましいチンピラ集団、人類の敵です。
深い穴を掘って埋めてしまうべきです。
それが全人類の進歩に大きく貢献するのです。




その後に、ジョン・ライドンのテレビでのインタビューのやりとりが入ります。

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聞き手 「社会は混乱状態だ」
ライドン「だから?」
聞き手 「君たちは煽っている」
ライドン「若者は絶望しきっている。学校教育で生徒はフヌケにされる。体制と違う意見は抹殺されるんだ。やつらは生徒を洗脳する」




それにしても、最初の紳士の「ポックリと急死することを祈ります」とか、「深い穴を掘って埋めてしまうべきです」という紳士らしからぬ言葉は、当時、セックス・ピストルズが、いかにイギリスの保守層の感情を逆なでしていたかを物語るものです。

もともとロック音楽に寛大なイギリスなのに、この感情的な態度は、彼らの曲が単なるロックではないということへの怒りだと思います。

「本当に社会が動かされてしまうかもしれない」

ということに対しての保守層、管理側の不安。

イエスやピンク・フロイドではおそらくは革命は起きない。
でも、セックス・ピストルズには「それ」があったかもしれないのでした。

そして、今だからこそすごいと思うのは、ジョン・ライドンを始めとする、今から約 40年前の「本当の反抗の精神」が 40年経った今でも「多くの人の中に生きている」という点です。

何しろ、私自身がこのように影響を受け続けている。

私たちが「考える」ことに貢献し続けてくれ、社会の未来を考えることの支えになる。

創造と破壊の理論でいえば、明らかな「破壊側」である彼らは、世界中に散らばって生きている多くの人びとに火をつけたまま現在に至ります。

そして、先ほどの紳士の、

「深い穴を掘って埋めてしまうべきです」

という願いは叶わず、彼らは今でも健在です。

それどころか、巨大化、あるいは「大物化」しながら神話化していくという離れ業さえ見せています。

大物化したジョン・ライドン(Sex Pistols ボーカル)
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lovemotelnovacancystarpulse


大物化したスティーブ・ジョーンズ(Sex Pistols ギター)
steve-jones.jpg
mtv.com

これからもどんどん大くきくなっていくことを期待しています。


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posted by noffy at 15:38 | 現世人類としての最期に