2014年08月20日

グレート・サッチモ&グレート・ロビン・ウィリアムズ

先日、アメリカの俳優のロビン・ウィリアムズさんが亡くなったんですね。

米俳優ロビン・ウィリアムズさん死去…自殺か
 読売新聞 2014.08.12

亡くなったことはもう仕方ないとして、他の作品はともかく、「この人しかその役はできなかった」という最高のキャスティングで、しかも、私が大好きだった映画に『グッド・モーニング・ベトナム』(1987年)という作品があります。

若い頃からずいぶんと見た映画で、ストーリーは、 Wikipedia の冒頭を書きますと、

『グッドモーニング, ベトナム』は、1987年製作のアメリカ映画。一人のAFN(米軍のラジオ局)のDJが、兵士達を笑いとロックで癒し、ベトナム人と触れ、戦争の冷酷さに翻弄される5ヶ月を描いたベトナム戦争映画の中でも異色の作品。

ロビン・ウィリアムスが人間味溢れる型破りなDJ、エイドリアン・クロンナウアを演じている。



というものです。

そして、とにかく「挿入歌の数々」が素晴らしいんですね。

映画データベースの IMDb で調べて見ると、使われている曲の数は 33曲

有名なヒット曲も多いですが、「よくぞ見つけたきたなあ」というような埋もれた名曲もとても多いです。

たとえばこの映画で、私がいちばん好きな下のシーンで流れる曲は、アダム・フェイスという人の、「イッツ・オール・ライト」という 1965年の曲ですが、この映画で使われるまではアメリカでも知っている人などあまりいなかったのではないでしょうか。

グッド・モーニング、ベトナムより Adam Faith - It's all right (1965年)




アダム・フェイスというのは、1960年代の英国の歌手らしいんですけど、私もこの映画を見るまではまったく知りませんでした。

adam-01.jpg
・アダム・フェイスさん。


他にも、ザ・リヴィエラスというバンドの「カリフォルニア・サン」という曲なんかも、アメリカなどでは有名な曲なのかもしれないですが、これも映画を見て初めて知った、私にとっての名曲。

California Sun / The Rivieras (1964年)


これは、主人公がベトナムを離れる際に、(当初は女の子目当てに)地元の人々に英語を教えていた英語教室の生徒たちと約束していた「アメリカ式の野球をやる」という約束通りに、地元の人たちと野球をするシーンで流れます。

baseball.jpg
・そのシーン。


他にもビーチボーイズからジェームス・ブラウンまで、怒濤のごとく音楽が流れ続けます。

しかし、映画のストーリーそのものは結局、「戦争、恋愛、現実の世の中などすべての方向性において切ない」ものでもあるのですけれど、映画自体が強く主張を表現しないせいもあるのか、個人的には後味の悪くない映画です。

ちなみに、主人公の「エイドリアン・クロンナウア」というのは架空の人ではなく、実在した人物で、英語版 Wikipedia の Adrian Cronauer によると、現在は弁護士をやっているのだとか。

この映画の中で最大の「音楽と映像の見せ場」となっているシーンには、ルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」( What a Wonderful World )が使われていて、その曲の2分半ほどの時間のあいだに、希望や失意や残虐な現実を示した映像が凝縮されています。

ルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」の本人のライブの映像を載せておきます。

What a wonderful world - LOUIS ARMSTRONG




映画では、この曲を流した後、主人公クロンナウアは、

「ルイ・アームストロング……。偉大なサッチモ」

と呟きます(サッチモ /Satchmo はルイ・アームトスロングの愛称)。

私もまったくそう思います。

けれど、私は、エイドリアン・クロンナウアという人の自由な精神を、過剰に、あるいは過激で新鮮に演じ、私たちを狂喜させたロビン・ウィリアムズさんにも、サッチモへの称賛と同じ「偉大な」という称賛を捧げたいと思っています。


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